ダウンコートは水洗いが新常識?

寒い冬には通勤や普段のお出かけに大活躍のダウンコート。暖かく、春めいてきたらスプリングコートにその役目をゆずりますが、問題はそのあとのお手入れですね。毎日の通勤に使っていたダウンコートの襟元や袖などは意外と汚れています。また、外は寒くても混んでいる電車の中は暑いくらい、でも脱ぐに脱げず汗ばんでしまう、なんてことも多いのでは?そうした汗などの水分はコートの中の羽毛が吸ってしまうことに。ついつい面倒になったり忘れてしまったりで次のシーズンまでそのままにしておくと、せっかくのダウンコートに汗ジミができたり、嫌なニオイがついてしまう、なんていうことになりかねません。そうなる前に、着なくなったらなるべく早くクリーニングに出すことが重要です。

 

では、ダウンコートのクリーニングはどう頼むのが正解でしょうか?今までは、ダウンといえばドライクリーニングというのが当たり前、水洗いは避けるというのが常識といってもよかったのですが、近年その常識が変わりつつあるのをご存知ですか。

 

まずそれぞれの洗濯方法の違いからご説明します。ドライクリーニングとはその名の通り水分を使わず、代わりに石油系の溶剤や揮発性有機溶剤に専用の洗剤(ドライソープ)を混ぜて洗うことで汚れを取り除く洗濯方法です。油性である人間の皮脂汚れや口紅、外を歩くことによってつくホコリや排気ガスの成分などが皮脂によって固まってしまったものなどを落としやすく、ウールやレーヨンなどの、水洗いすると型崩れやちぢみを起こしやすい素材の風合いを保つのにも適しています。ちなみにドライクリーニング発祥の地は19世紀のフランスだと言われています。なんでも偶然こぼしてしまったランプの油で布の模様が消えてしまったことから考案されたとか。意外と古い歴史を持っているんですね。

 

次に水を使った一般的なクリーニング。クリーニング店ではランドリーと言います。つまるところ普通の水洗いなんですが、クリーニング店では温水を使い、大きなドラム型洗濯機で専用の洗剤や補助剤としてアルカリ剤などを使って洗います。

 

さて、こう比べるとドライクリーニングはいいことずくめに思えますが、実はドライクリーニングには苦手なことがあるんです。それが水溶性の汚れ落とし。衣類についた人間の汗やシミを十分に落としきれないのです。加えて言うと、ニオイ落としもあまり得意ではありません。先ほどお話ししたように、ひと冬大活躍したダウンコートの羽毛にはたっぷり汗が染み込んでいます。せっかくクリーニングに出してもそれがうまく落ちないのでは困りますね。

 

ではダウンコートに適したクリーニングはどちらでしょうか?ここで考えていただきたいのは、そもそも羽毛ってどこから来たものかということです。そう、羽毛は水鳥の羽ですよね。「水」鳥というくらいですから普段は水の上にいるんです。じゃあその羽が水に弱いはずがありません。つまりダウン(羽毛)を水で洗うこと自体は何もおかしくないということです。ただし、水洗いした布地は必ずシワになりますから、それを熟練の職人さんがアイロンやプレスで元に戻すことが重要で欠かせない作業となります。またダウンコートではふっくらとしたボリュームを再現することが大切ですが、そのためにタンブリング(叩く)乾燥を施さなければなりません。近年こうしたウェットクリーニングと呼ばれる方法が行われるようになりました。水を使うランドリーと何が違うの?と思われるでしょうが、ドライクリーニング向けの衣類を高度な技術と設備、細心の注意を払って水で洗う洗濯方法をウェットクリーニングと呼んでいるんです。高価なダウンやスーツの汗汚れやニオイをきれいに落とすため、大手のクリーニング会社を中心にひろまりつつあります。また2016年12月に導入された新JIS規定の洗濯表示ではウェットクリーニングの表示が義務付けられていますので、こうしたことも普及の一因でしょう。

 

いまのところ豊富な知識と経験を持った職人さんや専用の業務用洗濯機などの設備投資が必要なため、個人のクリーニング店ではなかなか難しい面もあるようですが、そこを逆手にとってモンクレールやデュベティカ、タトラス、カナダグースなど高価なブランドのお洋服専門のウェットクリーニングサービスを行うクリーニング店なども出てきています。

 

ですから、ダウンコートをクリーニングに出す際には、事前にインターネットでウェットクリーニングを行うお店を調べるか、お近くのクリーニング店でウェットクリーニングを行っているか確かめてからお願いするのが良いでしょう。ネットで頼めるクリーニングサービスや大手のクリーニング店では多くのところがシーズン品の保管サービスも行っていますので、かさばるダウンコートをお家に置いておく必要がなくなるのは助かりますね。決してお安くないダウンコートですから、多少コストはかかりますが毎シーズンきちんとクリーニングして長く着られるようにしたいものです。